Laravel、2013年からの将来性
Laravelの将来性について、私自身も考えを改める必要があるようです。
正直、Laravel3までは、記述性と可読性に優れた、ミドルクラスのフレームワークという認識でした。他のフレームワークと比べると、使用するのに面倒のいらないORMが付いているお手軽に使用できるものというのが初めの印象でした。テーブルの要素をわざわざ記述する必要があるORMが多いため、全くORMには興味が持てませんでした。メンテナンスが面倒になるだけですからね。
実際に使い出すと、テンプレートエンジンのBladeも、マイグレーションに使用されるテーブル作成のSchemaクラスや、依存性注入のIoCクラス、単体テストをしやすい工夫など、最初の頃より便利に作ってあると理解できるようになりました。
個人的にはWebアプリでの使用を前提としたフレームワークでの、コマンドラインツールはあまり好みではないので、Artisanに関してはそこそこの評価です。
フレームワーク自身中くらいの大きさですが、開発も小型から中型のプロジェクト、個人での開発から数名のグループでの開発規模に適しているであろうと考えていました。
Laravel4になると、まず開発規模についての考えを改めなくてはならないようです。開発者のTaylor氏がテストしやすさを重視しているようで、かなり強化されています。これにより、システムの安定性が確保できます。大型のプロジェクトであろうと、採用される素地が出来上がりました。
もちろん、テストを重視しない、小型の案件、個人での開発においても、Laravel3での読みやすさ、書きやすさという特性は生かされます。Laravel4からは小型から大型まで、規模によらず採用できるようになると判断します。
Arisanによる、コードの自動生成も大幅に機能アップされます。できるのであれば、それをWebページメインで取り入れてもらいたかったものですが、たぶん正式版がリリースされればすぐに誰かが作成するでしょう。
日本では全然盛り上がりませんが、英米では急速に伸びています。アメリカでGoogleの検索数は、Laravel4がリリースされればyiiに追いつくだろうと思っていましたが、その前に抜いてしまいそうです。CakePHPにも追いつく勢いです。
世界的に見ても検索数はうなぎのぼりです。Cakeやyiiにはまだまだ届きませんが下降傾向にあります。両者の三分の一の検索数ですが、Laravelは上昇傾向です。同じ調子で上昇を続ければ一年程度でCodeigniterにも追いつくでしょう。ですがCIは息をふきかえしてきたようです。
最初は初心者にやさしい作りだなという印象が、すぐこれはヒットするだろうという印象に変わりました。それから数ヶ月ですが、思ったより急速に支持を広げているようです。
フレームワーク戦争という枠組みで捉えるよりも、Laravelが示した記述性、可読性はPHPコミュニティーに一石投じたのは間違いないようです。それにより、なんとなく読みにくい、書きにくいと思っていた隠れた不満に気付いたユーザーが、それを解消してくれるLaravelに飛びついているのが現状でしょう。
まあ、Laravelの成長が鈍るとしたら、同じコンセプトのフレームワークが出てくることでしょう。その出現により、人気が二分にでもされない限り、2013年は順調にLaravelが支持を広げます。
なお、Composer上のコンポーネント名がilluminateのため、Laravel4から名前が変わるのではないかと危惧しましたが、Taylor氏がTwitter上で、コンポーネント名はilluminateだけど、フレームワーク名はずっとLaravelのままであると明言しています。ですから、Laravel5になると、illuminateというコンポーネント名も別のものになるんでしょうね。