Jeffreywayは何故トップチューターなのか

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みなさん、Jeffreyway氏をご存知でしょうか?

オンラインチュートリアルサイトのtuts+のリードチューターであり、自らビデオや文章で情報を解説しています。残念ながら英語です。しかし、リスニング力の高くない私でも何とか内容を聞き取ることができます。

彼は技術者にしては珍しくプレゼンテーションの能力が高いのです。コミュニケーション力が抜群です。

彼が行なっていることをちょっと解析してみましょう。きっと、私達の伝える力を増強するため、何かの役には立つはずです。

存在感

彼の存在感は「さあ、教えてやるぞ」という見下した態度ではありません。はたまた「これも覚えろ、あれも知っとけ」と詰め込んでくるわけでありません。逆に教えている内容に対し「これでいいのか」と不安に駆られている様子もありません。無理やり「今でしょ!」と同意を求めることもしません。

非常に力が抜け、自然なのです。

私達が行う間違いは、伝える時に「別人」になることです。

通常、私達は「良い」プレゼンを行う人を誰かをイメージしており、その人のように伝えようとしてしまいます。そのため力が入り、自然さを失ってしまいます。

それは見たり読んだりしている相手に伝わります。スムーズさの欠けた感覚を覚えさせます。

Jeffreyway氏のビデオは実に自然で、力が抜けています。話している言葉の意味を聴きとろうとせず、ただ聞いていても心地よいのです。それは話し方がリズミカルであるという点もありますが、それよりも出すぎず、引きすぎず、ストレートに伝えようとする彼の態度によるものが大きでしょう。

その人の本領が発揮されるのは、肩から力が抜け、本来の自分自身でいる時です。他の誰かになろうとせず、自分自身でいきましょう。

単純さ

簡単で、単純であることは、明確な長所です。

Jeffreyway氏はリスニング力が低い私でも意味が取れるのですから、難しい言葉を基本的に使用しません。

英語のライティング教本では「1ドルの言葉があるのに100ドルの言葉を使うな」という言い回しがよく使われます。時代や人により、1ペニーになったり、100万ドルと言われたりしますが、伝えようとしている本質は同じです。簡単なふだん使いの言葉で表現できることを、わざわざ難しく表現するなという戒めです。

さらに良いプレゼンテーターと悪いプレゼンテーターの違いは、分かりやすく伝える力です。分かりやすく伝える力は能力ですが、努力でもあります。なぜなら、相手に分かりやすく伝えるには、まず自分が良く理解する必要があるからです。

意図は素晴らしいのに、内容はとても残念な技術サイトが世の中にはたくさんあります。ある技術サイトの趣旨/目的は利用者に理解をもたらし、難しい概念をできるだけ優しく解説しようというものです。見た目も美しく整えられており、わざわざ作成しただろうイラストも豊富です。ですが残念ながらわかりづらいのです。

なぜでしょう。一番の原因は一つの技術用語が示す内容を解説するため、5から20個の別の専門用語が出てくるからです。これでは読み手に「せっかく優しく親切に説明しようとしてくれているのにわからないなんて、きっと自分が悪いのだろう」と思わせてしまいます。立派なつくりのサイトですが、実際人気はあまり無いようです。なにせ読み手に罪悪感を感じさせるのですからね。

もしある程度レベルの高い読者を相手にするのであれば、このような解説は「釈迦に説法」です。不必要です。逆に技術レベルが低い人に内容を解説することを目的としているサイトであれば、なにかを解説する場合には他の専門用語をたくさん使用しない、その文中で使用する専門用語については概念を簡単に説明することが必要でしょう。

そして、もし可能であれば、全く技術用語を使わずに説明することです。これは本当に難しいことです。なにせ自分が本当に理解しなくてはできないからです。

Jeffreyway氏はちゃんと心得ているのです。自分が教える内容を受け取るのはどのレベルの人か分かっています。ですから技術用語のオンパレードにはしません。そして、自分が教える内容については熟知しているのです。ですから、相手に簡単でシンプルに伝えることができるのです。それが彼が優れたプレゼンテーターとして評価される大きな理由です。

有用さ

実際のところ、フレームワーク戦争は馬鹿げていますが、特定の上級な設計論理を持ち出し、それに向いている、向いていないと議論するのは更に輪をかけて馬鹿げています。

そもそも一般的なフレームワークはグッドプラクティスを集めたものです。ですから、本当に設計理論に親しんでいる人であれば、フレームワークによらず、自分の知識を適用し、上手く設計することでしょう。

もちろん中には特定の用途、特定の設計思想を実現するための一般的と言うよりは特殊で限定的なフレームワークもあるのでしょう。でもこのようなフレームワークであれば、何が適用可能かとかいうような話題は持ちだされないことでしょう。

知識や情報は実践し、活かす場がなければ無駄になります。情報を集めても利用できなければただのゴミです。私も若い頃は兎にも角にも情報や知識を集めたものです。ですが、99%は活かすことができませんでした。それを集めるための時間は無駄になりました。もし「実用できなければ知識は無駄になるよ」という指針を示してくれる書籍や師となる人に出会っていたら、人生のかなりの部分は無駄にしなくて済んだことでしょう。

しかし、当時書籍にそんなことを書く人はいませんでした。なぜなら、本を書くような人は知識に自ら溺れている人です。そんな人達が自分の傾向を否定するような内容を書くわけがありません。逆に「知識を持ち運ぶのに荷物は要らない。知識は持っていればいるだけ、役に立つ」と教えるようなものばかりでした。しかし、学んだ様々な知識が役に立つことはめったにありませんでした。

知識は実践してください。その結果でふるいにかけましょう。本当に実用的な知識のみ、自分のものにしましょう。

オープンソースは多くの人の知恵や議論で成り立っているわけでありません。実際のところ「コードを書く人」がいて成り立ちます。空論を戦わせているから便利で有益なソフトウェアを私達が使用できるわけでないのです。意見が異なる時、フォークしてプロジェクトを分け、自分の考えを実際に「コーディング」してその有用性を証明したどこかの開発者がいてくれたから生まれてきたのです。

高度な知識や理解力は重要ですが、それをひけらかすだけでは嫌な人間になってしまいます。どうかそれを他の人にも分け与えてください。私達はあなたのように優れた理解力を持ってはいないことを理解してください。優しく、実用的に教えてください。

実際、あなたが分かりやすく伝えることができなければ、本当に理解してはいません。あなたがどうやればそれができるのかを示せないのであれば、その知識は実用的ではありません。

そして複雑さとはそれに見合っただけの実用性がなければ、無駄なのです。実用性を捨ててまで必要以上に複雑にしてしまうのは、自分の理解力を示そうとする人間のエゴに過ぎません。物事を複雑にし、それを理解できる自分は偉いというエゴスティックな傾向なのです。

Jeffreyway氏はどうするのかを実際に示すのです。これが大事、これが重要とばかり説明するのではなく、実際にやってみせるのです。

彼は初心者にでも分かるように解説し、シンプルに実践して見せます。そして初心者は「自分にもできる」と自信が持て、学習の初めの頃にありがちな迷いやためらいを乗り越えられるのです。

他の人を議論で制圧し、自分の優位性を示すための知識ですか?それとも、自分と他の人を幸せにするための知識でしょうか?正直にチェックしてください。「他の人が自分よりそのことについてより良く知っていたら不安に感じる?」、「他の人が自分と同じくらい理解して、応用して、結果を出せたら幸せに感じる?」ちょっとした試金石です。

Jeffreyway氏がトップチューターなのは、教える時に態度が自然で力みがなく、教えるものを深く知り、それを実践して見せるからです。そして表に出ない時間に、知るため、応用するために努力し、時間をかけているからです。

あなたはチューターでないかもしれません。でももし何かを理解しているのでしたら知識を私達に分けてください。やり方を教えてください。その知識をひけらかすのではなく、分け与えてください。上手く行えば、きっと誰かを幸せにします。それによりあなたも幸せに感じられるのです。